「ドメーヌ・アンベール」の4代目当主、エマニュエル氏とフレデリック氏は、デュガ家出身の母を持つ兄弟。

従兄には、かのベルナール・デュガ・ピュイ氏とクロード・デュガ氏がいますが、母が結婚したことでデュガの
名はエチケット上には無く、生産量の少なさも相まって従兄たちほど知名度は高くないのが事実です。

しかしながら、事情通の間では「隠れた第三のデュガ」として人気があり、また、しっかりとした実力をも
兼ね備えた生産者として知られているそうです。

ジュヴレ・シャンベルタンの裏手に続くラヴォー渓谷沿いにドメーヌを構えており、シャルム・シャンベルタン
や稀少な一級畑「ジュヴレ・シャンベルタン・クレピヨ」などデュガ家と同じような優良畑を所有。
　
1989年にドメーヌを引き継いだエマニュエル氏とフレデリック氏は、徹底した収量制限と有機栽培に取
り組んでいるとのことで、化学肥料や除草剤は使用せず、梳き入れを行うことで畑の状態を健全に保
っているそう。また、ヴィンテージによっては摘芯・摘果を行い、厳格な収量制限を行っているということ。

醸造では過度なタンニンの抽出を良しとせず、温度管理可能なタンクで3～6日間コールド・マセラシオ
ンを行った後、発酵に入ります。ピジャージュは行わずに長期熟成させ、月の満ち欠けで状態が安定した
タイミングを見計らい、無清澄、無濾過で瓶詰めするそうです。

『ベタンヌ・ドゥソーヴ』誌（元クラスマンで執筆・編集を担っていたミシェル・ベタンヌ氏とティエリー・デソーヴ
氏が2007年秋から刊行しているワイン専門誌）では、ジョルジュ・ルーミエやドゥニ・モルテと同評価の
「四つ星」を獲得しているというアンベール。